優しく屋根を打つ雨の音。

 抑えきれなくなりそうな私の気持ちを、なだめるかのように。

 落ち着いた旋律に、かえって心が揺れ動いて。

 遠く蝋燭の溶け落ちる匂い。

 熱くうずまく胸の内を、包むかのように。

 閉じこめられて、かえって熱が蓄えられて。

 礼拝堂を包む空気は、どこまでも厳かで。

 お騒がせだったあのふたりには、あまりに似合わなくて。

 なんだか、笑えてきた。

 隣にたたずむ親友。

 気遣うように。

 「ミサト・・・」

 「ん、大丈夫・・・

  ありがと、リツコ・・・」

 吐息。

 心のざわめきを静めるように。

 胸の熱さを逃がすように。

 そっと、取り出してみる。

 一個の、消しゴム。

 すり減って。

 使い古されて。

 ちっちゃくなった、アスカの消しゴム。

 無言で、語りかけてくる。

 それは、あの子がどうしても踏み出せなかった、最後の一歩。

 視界を滲ませる、温かい水。

 一筋の、光を放って。

 身に纏う黒い布に、染みをつくった。

 

 

 

 Illusion Laboratry 1周年記念

 はんかくもじのゆうき

 作:とれとにあ

 

 

 

 「たっだいまー♪」

 夜の9時。

 ドアを開けると、安らかな空気にのって、野菜を煮込んだ匂い。

 残業で疲れた身体に、優しくしみこんで。

 私を出迎えてくれる、あの子たちの声。

 「お帰りなさい、ミサトさん。」

 「お帰り、ミサト。

  遅かったから、先食べちゃったわよ。」

 「オッケー、オッケー!

  シンちゃん、今日はなんなの?」

 「ビーフシチューですよ。

  いま、用意しますね!」

 シンジ君がいて、アスカがいて、私がいる。

 もう3年も続いている、共同生活。

 シンジ君が、楽譜を置いて立ち上がった。

 やっぱり、アスカに聞かせてあげるつもりかしらね。

 アスカは、テーブルを挟んで、シンジ君の向かい側。

 ノートになにか、書き込んでいる・・・?

 「アスカ?

  なにしてんの?」

 「んーーー???

  ペンペン描いてたの。」

 のぞき込んでみると、お魚をくわえた、ペンペンの姿。

 「へぇ、アスカ、上手いじゃない!

  うんうん、ゲージツの秋よねぇ!」

 「常夏でしょ、ここは。

  ま、暇だったしね。」

 暇、か・・・

 だったら、部屋に戻ってもよさそうなものだけど・・・

 ま、それはないか!

 思えば、同居を始めたころから。

 アスカは寝るときくらいしか、自分の部屋に戻らなかった。

 あのときは、まさか、と思ったもんだけど。

 いまとなっては、疑う方が愚かってものね。

 よーするに、シンジ君のそばにいたいのよね、アスカってば♪

 「???

  なに、ニヤニヤしてんのよ?!」

 「んーーー???

  べっつにーーー。

  アスカって、可愛いなぁって思ってたのよ。」

 「な・・・いきなり、なに言い出すのよ!」

 「あらぁ、謙遜しなくてもいいじゃない!

  ねぇ、シンちゃん!

  アスカって、さいっこうに可愛いわよねぇ!3詭?」

 「え?あ、あの、その・・・あ、えっと・・・」

 「な!

  み、ミサト!

  あんたねぇ!」

 おーおー、ふたりとも真っ赤になっちゃってぇ!

 「ふたりとも、照れることないわよん♪」

 「「!!!」」

 まぁったく!

 これで、まだつきあってないって言うんだから。

 あっきれた話よねぇ。

 もっとも、そのおかげで、こうしてからかえるんだけど!

 ま、今日はこのへんで勘弁してあげますか!

 「さ、シーンちゃん!

  はやくシチュー持ってきてくれない?」

 「え、あ、は、はい!」

 パタパタとキッチンにかけていくシンジ君。

 「へへ、アスカ、ごめんねぇ!」

 「も、べ、別になんともないわよ!」

 目の前にシチューが運ばれてきて。

 うーん。いい匂い!

 さすが、シンちゃんね!

 「さてと、いっただきまーす・・・

  って、アスカ・・・

  そんな、じっと見つめられると食べにくいんだけど・・・」

 「ああ、気にしないで、ミサト。

  食事中のミサトの顔、描いたげるからさ。

  特に、おっきく口を開けたところとか!」

 「そ、それはちょっち、辛いんだけど・・・」

 「別に、写真に撮ろうってわけじゃないんだけど・・・

  ま、いいわ。

  だったら、想像で描くだけだから。」

 さらさらぁと鉛筆をノートに走らせる。

 後ろからシンちゃんがのぞき込んで。

 「あすかぁ、これじゃ、ガギエルだよ・・・」

 「へ、そう?

  アタシ的にはサンダルフォンのつもりだったんだけど・・・・」

 どっちにしろ、使徒かい・・・

 「あ、アンタたちねぇ・・・」

 「ほら、ミサト、気にせず食べなさいよ!」

 「シチュー、冷めちゃいますよ!」

 ううっ・・・

 しっかり仕返しされちゃったわねぇ・・・

 コトリ。

 シチューの横に置かれる、銀色の缶。

 ビール。

 「お疲れさまです、ミサトさん。」

 「ありがとぉ、シンちゃーん。」

 「シンジ!あんまりミサトを甘やかすんじゃないわよ!」

 アスカはとりあえず私にやり返して満足したのか。

 ノートやら鉛筆やらを片づけて。

 テーブルに散らばっている消しカスをちまちまと集めている。

 ???

 違和感。

 作戦部長として長年鍛えた観察力が。

 目前の光景に注意すべき旨を告げてくる。

 なに???

 シンジ君とアスカに視線を走らせる。

 「・・・どうしたの、ミサト?」

 「・・・ううん、なんでもないわ・・・」

 別にふたりに変化があるわけじゃないわよね・・・

 まさか、つきあい始めた、なんてことがあったら、

 見逃すはず、ないと思うし・・・

 それに、私に黙ってることもないと思うし・・・

 じゃあ、いったい・・・???

 少し気になったけど。

 目の前のビーフシチューとビールの誘惑に勝てるわけもなく。

 そのときは、そのまま忘れてしまっていた。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 礼拝堂を支配する、静かな緊張感。

 肌に、突き刺さるほどに。

 雨のもたらす冷たい外気が。

 扉が開くたびに流れこんできて。

 熱くなった目元を冷ましていく。

 手のひらで、コロコロと転がしてみる。

 ちいちゃくなった、消しゴム。

 アスカの、消しゴム。

 わずかな人の動きも、逃さずにとらえて。

 蝋燭の炎が、揺れる。

 揺れる。

 揺れる。

 照らし出されて、手のひらの上に。

 消しゴムの影が、踊る。

 踊る。

 踊る。

 大胆に。

 繊細に。

 強がるように。

 怯えるように。

 踊る。

 踊る。

 まるで、アスカの心そのもののように。

 踊る。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 「たっだいまー♪」

 夕方の6時。

 ドアを開けると、いつもの喧噪の気配はなく。

 ヒンヤリとした、静けさのなか。

 「あ、お帰り、ミサト。」

 リビングで、鉛筆を片手に。

 「あ、アスカ、ただいま!

  えっと・・・シンちゃんは?」

 「ん・・・鈴原と相田と・・・遊んでくるって・・・」

 「ふぅん・・・寂しいわねん、アスカ!」

 「・・・まぁね・・・」

 おーおー。

 本人がいないと、素直なもんねぇ♪

 「ふぅん・・・

  それでアスカは、ひとり寂しく、

  シンちゃんのことを思ってるのね!」

 「な!

  わ、わけわかんないこと言うんじゃないわよ!」

 「えー、だってぇぇぇ・・・」

 さりげなく、さりげなく。

 アスカに近づいて。

 「・・・さっきから描いてるの、シンちゃんじゃないの!?」

 うりゃ!!!

 アスカのノート、ゲットよん♪

 「あ!

  ちょ、返してーーー!!!」

 「どれどれぇぇぇ!!!」

 ほーら、やっぱり。

 うんうん、よく描けてるじゃないの!

 「おーーー!!!

  上手いじゃない、アスカ!」

 ほっんと、上手いわ!

 なんて言うか、こう。

 被写体への愛情ってやつが、あふれ出してるわね!

 「返しなさいって、言ってんでしょ!!!」

 「きゃっ・・・と・・・ねぇ、アスカ。

  なにを思いながら、シンちゃんの絵なんか描いていたのかなぁ?」

 「な・・・!?」

 「アスカを優しく見守ってくれる、シンちゃんの眼!」

 「う・・・」

 「アスカにおいしいご飯をつくってくれる、シンちゃんの手!」

 「あうぅ・・・」

 「アスカに優しい言葉をかけてくれる、シンちゃんの口!」

 「・・・」

 「・・・それとも、

  アスカの唇を優しくふさいでくれる、シンちゃんの唇、かしら!」

 「!!!

  そ、そんなこと、まだされてないわよ!!!」

 「ほっほぅ。

  まだ、ね・・・」

 「・・・!!!

  み、ミサトーーー!!!」

 ズバーーーーーン!!!

 あ、アスカ・・・

 酷いわ、顔面にノートぶつけるなんて・・・

 あ、眼がちかちか・・・

 「っつーーー!!!」

 「バカ言ってるからよ!

  まったく、もう・・・

  あ、あ、あああああああ!!!」

 ???

 アスカがノートを開いて叫んでる。

 どうしたのかしら?

 のぞき込む。

 アスカが描いたシンジ君の、眼の下、

 つまり、ほっぺたあたりに。

 私の口紅。

 「ありゃあ。

  シンちゃんに、キスしちゃったぁ!

  えへへぇ、ごめんねぇ、アスカ!」

 「・・・」

 アスカは、ジイッと、その絵を見つめて。

 「・・・アスカ?」

 ゴシゴシゴシ・・・

 いきなり、アスカは、その絵を消し始めた・・・

 「アスカ・・・!!!

  なにも、そこまで!?」

 ゴシゴシゴシ・・・

 半分、涙目になりながら。

 「・・・アスカ、ごめん・・・」

 「・・・いいのよ。

  ノート、ぶつけたの、アタシだし。

  また描けばいいから・・・」

 ゴシゴシゴシ・・・

 ちょっと、ふざけすぎちゃったかな・・・

 ごめんね、アスカ・・・

 でも・・・

 すっごい独占欲・・・

 こりゃ、からかい半分でも、シンジ君にキスなんかした日には。

 マジで命の保証がないわね。

 いや、シンジ君のね・・・

 やがて。

 ノートの白い紙に。

 私の真っ赤なキスマーク。

 それだけになって。

 「・・・これでよし・・・と!!!」

 とどめとばかりに、そのページを破いて。

 ゴミ箱行き・・・

 「・・・・・・」

 「???

  ミサト、なに、泣いてんの?」

 「・・・いや、その・・・」

 たしかに、悪いのは私だけどさぁ・・・

 ちょっと、あんまりじゃない、とか・・・

 恨みがましい眼で。

 アスカのこと、見たりなんかして。

 アスカは、気が落ち着いたのか。

 ハミングしながら、消しカス集めてたりして。

 ???

 違和感。

 昨日も感じた。

 いったい、なに???

 「ん?ミサト、どうしたの?

  あ!

  ホントに、いいのよ、もう。

  気にしてないから!」

 「え、あ、うん・・・

  ホント、ごめんなさい・・・」

 上の空で、アスカに謝りながら。

 正体のつかめない、違和感。

 私は、とまどっていた。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 「あら?

  その消しゴム・・・」

 静まりかえった、礼拝堂。

 わずかに響く、リツコの声。

 「・・・それ、アスカのじゃない・・・?」

 「え、ええ・・・

  よくわかったわね?リツコ・・・」

 「・・・そりゃ、ね・・・」

 正面の壁に掛かった、大きな十字架。

 見上げて。

 唇を噛んで。

 彼女はそこに、自らの背負った十字架を見ているかのように。

 かつては私の首にも掛かっていた。

 小さな十字架。

 いまはもう、ないけれど。

 「・・・それを教えたの、私よ・・・」

 「そうだったの・・・

  なんか、意外ね・・・」

 「あら、そうかしら・・・」

 ふっと、わずかに微笑んで。

 再び、その顔が引き締まる。

 「パイロットのメンタルケアも、

  私の仕事だったから・・・」

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 「ふぁぁぁぁ・・・おはやぅ・・・」

 朝の8時。

 ふすまを開けると、トーストの焼ける匂い。

 ジャムが焦げたような香りに、鼻をくすぐられて。

 「あ、おはよ、ミサト。」

 リビングで、やっぱり鉛筆を片手に。

 「おはよぅぅぅ、アスカ・・・

  ん・・・ねむ・・・

  ほぇ・・・シンちゃんは・・・?」

 「日曜くらい、ゆっくり寝させてやんなさいよ!」

 あきれたように、言い放つ。

 そういう言い方されると、からかいたくなるって、

 まだわからないのかしらね♪

 「あらぁ、アスカ!

  シンちゃんには、やっさしぃわねぇ!」

 「な・・・!」

 おー、顔が真っ赤。

 これだから、アスカをからかうのって、やめらんないのよね!

 「さてと・・・私の朝ご飯は?」

 「・・・トーストぐらい、自分で焼きなさいよ!」

 「はぁぁ、アスカって、私には冷たいわねぇ・・・

  シンちゃんにだったら、

  言われる前に、多めに焼いたげて、

  おまけに、ジャムまで塗ってあげたりするのにねぇ・・・」

 「シンジはバターよ・・・ジャム嫌いだから・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 ボンッッッ!!!

 水蒸気爆発のような音がして。

 いや、物理的に湯気が立ってるし。

 「ち、あ、あう、が、違うのよ!

  別に、シンジになら、用意したげるとかじゃなくってねっ!!!」

 さすがにからかうのもバカらしいっつーか、

 いまのに、私に、どーつっこめと???

 朝っぱらから、圧倒的な若さを見せつけられて。

 少々ブルーになりながら。

 パンを焼くことにする。

 まぁ、たしかに。

 トースターにパンを放り込むだけなんだけど・・・

 タイマーをセットして、とぼとぼとテーブルに戻る。

 「・・・で?

  私のパンを焼く時間も惜しんで、アスカ、なにしてんの?」

 「いや、別に、そんな・・・あ、これ?

  数学の宿題。

  簡単なくせに、数ばっか、いっちょまえでさぁ・・・」

 ふぅん・・・

 なんのかんの言って、アスカって、頑張りやさんねぇ・・・

 それにしても、簡単なくせに、か・・・

 だったら、この大量の、消しゴムを使ったあとはなんなのかしらね?

 笑いをこらえながら。

 テーブルに散らばった消しカスをもてあそんで。

 ・・・・・・!!!

 唐突に、気づいた。

 近頃感じていた、違和感。

 真っ白な消しゴム。

 真っ黒な鉛筆。

 なのに・・・

 やっとわかった、この違和感。

 その正体も。

 その理由も。

 そう。

 そういうことだったの・・・

 胸が熱くなっていくのを感じる。

 瞳が潤みそうになっているのを感じる。

 もれそうになる嗚咽を、必死に押さえて。

 そっと、アスカの傍らに立って。

 「・・・なに?ミサト・・・」

 「アスカ・・・」

 アスカは、不思議そうに、私を見上げて。

 小首を傾げる様が、本当に可愛らしくて。

 ホントに、いつの間に、こんなに可愛くなっちゃったの・・・

 「ねぇ、アスカ・・・

  なんで消しカスが緑色なのかしら・・・」

 「???」

 アスカは、なにを言われたのかわからなかったよg命うで。

 でも、一瞬の後。

 さっきの水蒸気爆発もかくもや、という勢いで。

 一気に、顔に血を上らせて。

 「あ、や、こ、これは・・・」

 真っ赤な顔で、あわてふためくアスカ。

 あまりに可愛くって。

 ガマンできなくなって。

 思わず、胸に抱きしめた。

 「・・・み、ミサト・・・???」

 「ん・・・ごめんね、アスカ・・・

  ちょっち、ツボに入っちゃったかな・・・」

 こらえきれない。

 眼からポロポロとこぼれ出す。

 涙って、温かかったのね・・・

 「・・・」

 「・・・アスカってさ・・・

  幼いころから・・・

  ネルフに、生き方決められちゃって・・・

  エヴァに、心を縛られちゃって・・・

  それが・・・いま・・・

  こんなに・・・こんなに一生懸命に・・・

  恋してるんだなって思ったら・・・

  嬉しくって・・・

  ちょっとね・・・」

 アスカの、真っ赤な髪に。

 涙が吸い込まれていって。

 アスカはなにも言わなくって。

 でも、ぎゅっと、私の服をつかんで。

 「・・・」

 「ねぇ、アスカ・・・

  頼りにしてくれない?

  これでも・・・いろいろと・・・

  力になって・・・あげ・・・」

 これ以上は、言葉にならなくって。

 でも、伝えたくって。

 アスカを、ギュッと、抱きしめて。

 アスカは、私の心をなだめるように。

 そっと、私の腕に手を添えて。

 「・・・ありがと、ミサト・・・」

 一言。

 たった、一言。

 その一言が、どうしようもなく嬉しくって。

 鐘を鳴らしたような音。

 トースターのタイマー。

 パンが、少し焼けすぎたことを知らせる、炭の匂い。

 わずかに漂って。

 静まりかえったリビングを、優しく支配していた。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 私の手のひらの、アスカの消しゴム。

 おまじないに託した、アスカの想い。

 そう、おまじない。

 誰でも知ってる、おまじない。

 真っ白な消しゴムに。

 緑色のペンで。

 好きな人の名前を深く刻んで。

 使い切ったら、両想い。

 いつも、そばにいたから。

 いつも、近くにいたから。

 それを失うのが、怖くて。

 あと一歩が踏み出せなかったアスカ。

 おまじないに縋りつくほどに。

 追いつめられていた。

 求めていた。

 そして。

 いまもこの消しゴムに残されている。

 半角文字、一個分。

 緑のペンで、「石」の文字。

 これもまた。

 アスカが最後の一歩を踏み出せなかった証。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 「たっだいまぁん♪」

 夕方の6時。

 ドアを開けると、音の存在しない世界。

 張りつめたような空気。

 リビングから伝わってくるのは、悲しみの気配。

 「・・・?」

 冷たい空気に飲み込まれて。

 「・・・ミサト・・・お帰り・・・」

 「あ、アスカ、ただいま・・・

  シンちゃんは?」

 「・・・買い物、だって・・・」

 「ふぅん・・・

  それで、連れてってもらえなかったから、へこんでるわけだ!」

 なんとなく重い雰囲気を、振り払おうと。

 努めて、明るく、茶化すように。

 だけど、アスカは。

 ふるふると、首を横に振って。

 「・・・ねぇ、ミサト・・・」

 「うん、なぁに?」

 「・・・頼りにしていいって、言ってくれたよね・・・」

 「ええ・・・どうかしたの?」

 アスカは、黙って。

 そっと、机の上に置かれた、消しゴム。

 あの消しゴム。

 だいぶすり減って。

 アスカに、眼で問いかけて。

 無言で促されて。

 消しゴムを、手に取って。

 真っ白な消しゴムに。

 緑色に、刻まれている。

 半角文字の、「石」の文字。

 私の考えが正しければ。

 いいえ、まず、間違いなく。

 「碇シンジ」の左端。

 「・・・あと少しじゃない!

  これが、どうかしたの?」

 「ねぇ、ミサト・・・

  これ、使い切ったら、どうすればいいの?」

 「へ?

  どうすればいいのって・・・」

 「使い切ったら、両想いになれるって。

  そう聞いてたの・・・」

 「ええ、そうよ?」

 「それ、使い切ったら・・・

  アイツから、告白してくれるの?」

 「へ?」

 ぽたり、ぽたり。

 机の上に、涙を落として。

 「もし、告白してくれなかったら・・・どうすればいいの?

  いままでとなんにもかわらなかったら・・・もうだめなの?」

 「アスカ・・・!」

 おまじない。

 それは、しょせん、おまじない。

 だけど、アスカにとっては。

 強がった姿の裏に隠れた、寂しがりやのアスカにとっては。

 わらをも掴む思い、だったのだろう。

 最後の望みの綱、だったのかもしれない。

 「いま」を失うことが怖くて、

 だけど「いま」のままで終わってしまうことを怖れて。

 そんなアスカには。

 おまじないをやり終えたあと。

 なにも起こらなかったときに。

 こんなものね、と。

 笑ってとばすなんて・・・できるはずもなくて。

 シンジ君のことを、ひたすら想いながら。

 消しゴムを使い続けた。

 その日々を、なかったことにするなんて。

 忘れてしまうなんて・・・できるわけなくて。

 「それ・・・使い終わったあとが・・・

  怖くて・・・

  使えない・・・

  これ以上・・・

  使えないよぉ・・・ミサトォ・・・」

 アスカの肩が震える。

 アスカの声が震える。

 アタシの目の前にたたずむ、その姿は。

 とても、儚げで。

 「アスカ・・・」

 そっと、消しゴムをアスカの手に握らせて。

 その手に、そっと私の手を添えて。

 「・・・ミサト・・・」

 「アスカ、大丈夫よ。」

 「・・・」

 「安心して、使いなさい。

  最後まで、使い切りなさい。

  大丈夫、シンちゃんはきっと、告白してくれるわ!」

 鼻をすすりながら。

 私の顔を見つめてくる。

 その眼を正面から見つめ返して。

 「大丈夫!

  きっと、両想いになれるわ!」

 「・・・ホント・・・?」

 「本当よ!信じて!

  ね!?」

 「・・・うん・・・

  信じたからね・・・

  絶対なんだからね・・・」

 「ええ!

  だから、涙を拭きなさい。」

 「・・・うん・・・!」

 アスカの、笑顔。

 透き通った、笑顔。

 正直に、綺麗だと思った。

 アスカがシンジ君と出会ってから。

 積み重ねてきた時間。

 楽しいものだったけど。

 楽しいものだったからこそ。

 苦しんでいたのね。

 これほどまでに、追いつめられていたのね。

 そうね。

 女の子だもん。

 アスカは、女の子だもんね。

 いまのままじゃ、満足できないわよね。

 独り占め、したいわよね。

 自分だけを、見てほしいわよね。

 こりゃぁ、後から。

 シンジ君を、本気でせっつかなきゃ・・・

 アスカが落ち着いたのを見計らったかのように。

 突然、この場に似合わない、メロディ。

 アスカの携帯の、着信。

 「・・・ん?」

 カバンから、取り出して。

 「もしもし・・・

  へ?シンジ?!

  なによ、いったい・・・

  はぁ?

  うん、しょーがないわねぇ・・・

  わかった、いまから行くわ!

  じゃ!」

 「シンちゃんから?」

 「うん。

  買い物のしすぎで、持ちきれないから助けてって。

  なーにやってんだか!!」

 さっきの姿はどこへやら。

 いつもの、強気なアスカ。

 やれやれ・・・

 「じゃあ、ちょっと行ってくるわ!」

 「気をつけてねぇん♪」

 「行ってきまーす!」

 おーおー。

 うっかれちゃって、まあ!

 おおかた、頭のなかは、

 シンジ君と一緒の帰り道のことで、いっぱいなんでしょうね。

 自分の携帯を取り上げて。

 「・・・もしもし、私。

  いま、セカンドが出かけたから。

  あと、よろしく。」

 いつもの、業務連絡を終えて。

 携帯を見つめて。

 違和感。

 なぜ・・・?

 どうして、シンジ君は、アスカの携帯にかけてきたの?

 アスカが家にいること、知ってたでしょうに・・・

 私を、避けた・・・?

 ううん・・・

 アスカじゃなきゃ、だめだった・・・?

 「・・・もしもし、サード担当班?

  葛城です。

  シン・・・サードに、なにか変わったことはなかった?

  ・・・

  大きい買い物?

  なにを買ったの?

  ・・・

  心配することないって・・・

  ちょ、ちょっと・・・

  ・・・

  き、切れた・・・!」

 携帯を、呆然と見つめる。

 なにがあったの?

 シンジ君の買い物・・・

 アスカへの呼び出し・・・

 歯切れの悪い保安部・・・

 ま、まさか、ねぇ・・・

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 20分後。

 帰ってきた、ふたり。

 シンジ君。

 アスカを支えるように。

 アスカ。

 真っ赤に眼をはらして。

 薬指に輝く指輪。

 私は、自分の推察以上の事態の進展を知った。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 あれから、一年。

 シンジ君が18歳になるやいなや。

 一気に事を進めた、アスカの行動力と詰めの堅さは、さすがだった。

 そして今日。

 ふたりは、高校卒業を待たずして、式を挙げる。

 私が身に纏うのは、黒の和服の正礼装。

 新郎・新婦の、近しい親族である証。

 この姿で、出席してくれと。

 ふたりに言われたとき。

 嬉しくて。

 温かくて。

 大泣きしてしまった。

 私の手のひらの、消しゴム。

 すり減って、使い古して、ちっちゃくなった。

 もうすぐなくなっちゃいそうな、アスカの消しゴム。

 半角文字、一個分。

 緑のペンで、「石」と刻まれた。

 アスカの、消しゴム。

 それは、一年前に。

 あと半角文字一個分、アスカが勇気を出せなくて。

 その半角文字一個分、シンジ君が頑張った。

 そのことを、無言で語り続ける、モニュメント。

 「どうして、ミサトがそれを?」

 リツコが尋ねてくる。

 「あの日・・・

  シンジ君が、告白・・・をすっ飛ばして、プロポーズ、した日にね。

  アスカが、ベランダから、投げ捨てたのよ。

  それを拾ったの・・・」

 「アスカが・・・???

  どうして・・・」

 「きっとね・・・

  おまじないのおかげ・・・なんてことにしたくなかったのよ・・・

  シンジ君がくれた気持ちが嬉しかったから・・・

  シンジ君が見せた勇気を信じたかったから・・・

  アスカは・・・これを捨てなくちゃいけなかったのよ・・・」

 「・・・なるほどね・・・

  あの子らしいわ・・・」

 ふう、とため息をついて。

 「・・・で?

  なんでミサトはそれを拾ったの?」

 「え?

  いや、まあ・・・

  ほら、なんか、御利益ありそうじゃない・・・」

 

 はあ、とため息をついて。

 「・・・あなたらしいわ・・・」

 「・・・悪かったわね・・・」

 本当は、それだけじゃないんだけどね・・・

 シンジ君に告白されるやいなや、

 アスカに投げ捨てられた消しゴムに。

 自分の姿をかさねちゃったなんて・・・

 言えないわよ・・・

 事実、間違ってたわけだしさ・・・

 ふたりはあの後も、私を邪魔者扱いしなかったもの。

 

 

 周囲が、突然ざわめく。

 一気に、現実に引き戻されて。

 空気の変化が、式の始まりを教えてくれる。

 賛美歌が響き渡る。

 扉が大きく開かれる。

 シンジ君が、入ってくる。

 落ち着き払って。

 そのりりしい姿に、息をのむ。

 最初に出会ったときは、あんなにか弱かったのにね・・・

 赤い絨毯の上。

 祭壇へ向かう道。

 途中で足を止めて。

 人生のP?伴侶がやってくるのを待ち受ける。

 再び、扉が開かれて。

 アスカ。

 純白のドレスに身を包んで。

 深紅の髪をなびかせて。

 周りから一斉に、感嘆の声。

 空気が揺れ動くほどに。

 まるで、礼拝堂そのものが、その美しさに驚嘆したかのように。

 その腕をひくのは、加持君。

 そう、父親じゃない。

 この式に、両家の親の姿はない。

 シンジ君もアスカも、いまだに親との関係を修復できていない。

 それも、いいかと思う。

 急ぐことはない。

 あまりに深い溝だから。

 ゆっくりとでも、しっかりと埋めていけばいいと思う。

 そう、ふたりが「親」になってからでも、きっと遅くはない。

 礼拝堂の中央で。

 加持君が、シンジ君にアスカを引き渡す。

 ふたり並んで、祭壇へと向かう。

 その後ろ姿を、加持君はじっと見つめて。

 その姿は、まるで加持君の生き方そのもののようで。

 ドイツにいる間、アスカを支え続けて。

 日本に戻ってからは、シンジ君にアスカを託して。

 ふたりが支え合う様子を、かげでそっと見守り続けた。

 そんな加持君の姿、そのもののようで。

 ふたりが祭壇の前に立つ。

 司祭が聖書を読み上げる。

 ふたりの前途を祝福する。

 「よっ、ただいま。」

 「・・・お疲れ。」

 「お疲れさま、加持君。」

 「いや、柄にもなく、緊張しちゃったかな。」

 「ふふ・・・本当にらしくないわね。」

 「いや、まったく・・・おや?

  それは、アスカの消しゴムじゃないか?」

 「へ?

  加持君も知ってたの?」

 「ま、これでもアスカの保護者のつもりだったからな。」

 「・・・ねぇ、ミサト・・・」

 「なによ。」

 「さっき言ってた、御利益のベクトル。

  やっぱり、加持君に向いてるのかしら?」

 「!!!

  ちょ、リツコ!

  いきなり言い出すのよ!」

 「あら、違うの?

  だったら、それ譲ってくれないかしら。

  たしかに御利益ありそうだもの。」

 「リッちゃん。

  そいつは、あと1週間ほど待っててもらえないか?」

 「・・・???」

 「あら、どういうこと?」

 「いや、な。

  あのふたりと違ってな。

  俺たちはもう、そいつのおかげ、ということでもなけりゃ、

  身動きがとれそうにないからな。」

 「か、加持君・・・それって・・・」

 「おっと、いまはこれ以上はだめだ。

  今日はあのふたりの結婚式なんだからな。

  今日の涙は、あのふたりだけのために流されなくちゃならない。

  なぁ、葛城。」

 「そう、それじゃ仕方ないわね・・・

  って、大丈夫、ミサト?」

 なにもしゃべれるわけがないじゃない!

 口を開くと、泣き出しちゃいそうで・・・

 必死にうなずいて、リツコに答える。

 加持君・・・

 やっと・・・!!!

 抱きつきたくなるのを、なんとか押さえて。

 そう、だめ。

 いまはだめ。

 今日はだめ。

 ふたりの結婚式なんだから。

 私は、ふたりの姿を、

 この眼に、この心に焼き付けたいのよ・・・!!!

 祭壇では。

 ふたりがいま、愛を誓い合っていた。

 そう、誓い合っている。

 神に、誓うのではなく。

 お互いに、誓い合っている。

 病めるときも・・・

 健やかなるときも・・・

 死がふたりを分かつまで・・・

 交換される、指輪。

 手を、わずかに翳して。

 嬉しそうに。

 愛しそうに。

 指輪を見つめるアスカが、とても印象的で。

 シンジ君の手が。

 アスカのヴェールをそっと持ち上げて。

 見つめ合う。

 

 

 さらにふたりの距離が縮まる。

 

 

 ふたりの距離が、零になる。

 

 

 その姿に、死すらふたりを分かつことはできないと思った。

 拍手の音。

 強く。

 大きく。

 礼拝堂が、揺れんばかりに。

 それは、ふたりの門出を祝う、みんなの心。

 「よかったわね、ミサト・・・」

 「うん・・・よかった。

  ふたりとも・・・本当に・・・」

 よかった。

 よかった。

 よかったよぅ。

 ふたりとも、幸せにね・・・

 

 

 ふたりの唇が、そっと離れて。

 それは、式次第の完了の合図。

 そして、色めき立つ、女性陣。

 ふたりの儀式の終わりは、

 彼女たちの儀式の始まりだから。

 「じゃあ、私も行ってくるわ。」

 「へ?」

 「どうしてだい、リッちゃん?

  1週間後には、この消しゴムが手に入るんだぞ?」

 「あなたたちは、あの子たちと違って、それのおかげ、なんでしょ。

  じゃあ、その消しゴムは、一生ミサトが持っているべきよ。」

 そう言って、祭壇の方へと向かう。

 そして、入れ違いにやってくる、女の子。

 「レイ・・・」

 レイは、ちょっと苦笑いを浮かべて。

 「・・・やっぱり、少し悔しいですから・・・」

 「そっか・・・」

 女の意地、か・・・

 この子も、だいぶ変わったわね・・・

 「大丈夫よ。

  レイは可愛いから。

  きっと自力で幸せになれるわ!」

 クスッと笑って。

 「・・・葛城二佐は、どうなんですか・・・?」

 「へ、私・・・?」

 チラッと、加持君を見遣って。

 「さあ・・・

  このバカが、あと1週間でなんとかしてくれるって話だけど・・・」

 レイは、ちょっと驚いた顔をして。

 そして、とても綺麗な微笑みを浮かべて。

 「・・・そう・・・

  ・・・おふたりに懸想する人が、

  私くらい性格がいいことを祈ってます・・・」

 「う・・・

  それはあんまりじゃないか、レイちゃん・・・?」

 「ま、たしかにね・・・

  加持君なんて、たたいたら埃じゃ済まなさそうだしね・・・」

 「いや、それは、その・・・

  しかしなんだな・・・目立つな、リッちゃん・・・」

 話を逸らす気ね・・・

 「ま、あの金髪じゃ、目立って当然でしょ。」

 「いや、そうじゃなくてな・・・」

 加持君が指差す方を見遣る。

 ギッチョン、ギッチョン。

 「ま、マジックハンド・・・」

 「・・・博士・・・本気ね・・・」

 止めろ、誰か。

 最前列では、マヤと洞木さんが火花を散らしていがみ合ってる。

 かつての「不潔よ」コンビもどこへやら、ね。

 でも。

 たしかに、ほしくもなるわよね。

 幸せになれそうだもの。

 そんな女性陣の姿を、さすがに苦笑いしながらも、

 優しく見つめるシンジ君。

 そして、アスカが背を向ける。

 「お、いよいよだぞ。」

 たしかに、ほしいけど。

 でも、私にはこれがあるから。

 手を握りしめて。

 感じられる、消しゴムの存在。

 そう、私には、この消しゴムがあるから。

 この消しゴムを通して、あのふたりからたくさんの想いをもらったから。

 だから、もういい。

 そして、アスカの手が、振り上げられて。

 高く。

 高く。

 ブーケが舞い上がった。

       ・

       ・

       ・

       ・

       ・

 一個の、消しゴム。

 すり減って。

 使い古されて。

 ちっちゃくなった、アスカの消しゴム。

 真っ白な無地に。

 半角文字、一個分。

 緑色に刻まれた。

 「石」という文字。

 無言で、語りかけてくる。

 それは、アスカがどうしても踏み出せなくて。

 その分、シンジ君が心を奮い立たせて頑張った。

 そしていま、私と加持君を支えてくれようとしている。

 それはきっと。

 半角文字、一個分の。

 勇気、という名の。

 

 

 人を、愛する力。

 

 

 

 (おわり)

 

 

 <<あとがき>>

 なんばーーーーーふぁーーーいぶ (/-_-)/ 

 どうも、とれとにあ です。

 てらださん!

 Illusion Laboratry 1周年、おめでとうございます!

 本当に、すごいです!

 さて、作中のおまじない。

 けっこう、バージョンがあるようで。

 ペンの色は、オレンジとか、ピンクとか、青とか。 

 消すのは、姓からだとか、名からだとか。

 ほかにも、一ヶ月以内に使い切るだとか、

 他人に知られちゃダメだとか。

 まあ、なんのかんのと形を変えながら。

 息の長いおまじないのようで。

 とまあ、そういうわけで。

 Illusion Laboratry も、このおまじないのように。

 息の長いサイトになってほしいですね!

 (うわ、ごーいん!!)

 今後いっそうのご発展を、心よりお祈り申し上げますです!

 それでは!


 管理人てらだでございます。

 テスト期間中で、近況報告SSSも満足に書かないで、記念物語を頂いてしまって、夜道で後ろから刺されてしまいそうです<本気

 

 心が弱いから・・・「おまじない」に頼るんじゃないんですよね?

 自分ではどうしようもなくて、でも諦め切れない想いがあって、しっかりとそれに望みを託そうって・・・

 真直ぐな気持ちが、シンジ君を引き寄せたって、思います。

 

 でも・・・ホント、アスカ嬢のこのおまじないへの心意気が伝わりますよね。

 最後の一歩を踏み出せないところ、そしてシンジ君の気持ちを「おまじない」のせいにしたくないってところは、流石だと思います。

 ふたりの未来が誰もが羨まずにいられないようなものである事を、心のそこからお祈りして・・・

 

 こんな素敵な物語をくださった、とれとにあさんに是非是非感想のメールを。

 

 2002 04/14追記

 K-2さんからの挿し絵を掲載いたしました

 暖かな雰囲気が伝わってくると、思いませんか?